ヘレンド(ヘレンド村)を訪ねる
マスターの海外カフェめぐり【3】
ヘレンドの開窯は1826年ですから、ちょうどフランスのロマンチックバレエが全盛の時です。マイセンの修理などを請負いながら技術を蓄積していきました。
現在でも、よく上演される、「ジゼル」や「ラ・シルフィード」などが、1830年代や40年代に生まれました。ヘレンドの器にも、どこかにそういった時代を感じさせる優美さが残っているような気がします。
ブタペストの南西約120km、中央ヨーロッパ最大の湖として有名な、バラトン湖の北方にある村でヘレンドは誕生しました。
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ヘレンドが有名になったのは、1851年、ロンドンの第一回世界万国博覧会開催で、大英帝国君主・ヴィクトリア女王がウィンザー城のディナーセットをヘレンドに注文したのがきっかけです。
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これによってヘレンドの名はヨーロッパ中に広まりました。中国風のこのパターンは、それ以降「ヴィクトリア」と呼ばれ、ヨーロッパ各地の王侯貴族に愛されました。
マスター達が造る
ヘレンド
ブタペストまで行ったら、ぜひ足を伸ばしてみたいところのひとつが、ヘレンドの工場でした。
ヘレンドの工場がある、ヘレンド村までは路線バスを利用します。ブタペストからベスプレームまで、まず最初のバスに乗り、次にヘレンド行きのバスの乗り換えます。
もちろん、バジャル語などできないのですが、地名の単語を並べて運転手さんにどうにか理解してもらうことができました。
武蔵野珈琲店にも何客かヘレンドの器がありますが、ヴィクトリア女王が気に入ったというだけあって、どれも高級感の漂うデザインです。
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コーヒーカップとティカップの写真を載せてみましたが、取っ手の部分に注目してください。コーヒーカップのほうは、つまんで持ち上げるタイプなのに対し、ティーカップは中に指が入るようになっています。
これは、器に入るコーヒーや紅茶の量から来る違いで、どうしても重くなるので、大きめのティーカップでは指が入るようになっています。
ヘレンドの工場を見学
ヘレンドの工場を訪ねて驚いたのは、ほんとうに周りになにもないことです。店舗はもちろん、人家もほとんどありません。
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朝、早くホテルを出発したので、ほとんどなにも食べていません。ヘレンドの工場で聞いて行ってみたレストランも、運悪く閉まっていました。
しかたがないので、ヘレンド博物館の中にあるカフェで、ケーキを2個注文してしまいました。
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ヘレンドの工場は、工場というより手造り職人さんたちの仕事場、といった雰囲気がぴったりです。
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私が見た中で、とくに印象に残ったのが、真ん中の写真のおばさんです。見学者のことなど、まるで目に入らないかのように、緻密な作業を淡々と続けていました。
一つ一つの手作業から漂ってくる雰囲気は、まさに「マスター」の称号にふさわしい、凛とした美しさでした。
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