ゴッホが描いたカフェを訪ねて
マスターの海外カフェめぐり【2】
ツアーに参加したアルルへの旅ですが、楽しみにしていた目的がひとつありました。
「ひまわり」「アルルの跳ね橋」「星降る夜、アルル」などで知られる、フィンセント・ファン・ゴッホ(1853年-1890年)の描いた「夜のカフェテラス」のモデルになったカフェに行ってみることです。
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今でも多くのローマ遺跡が、アルルの街中に残っています。2万人以上の観客を集めた円形闘技場、紀元前1世紀末に作られた古代劇場、コンスタンティヌス帝時代の4世紀に建てられた共同浴場など、ローマ時代にいるのではないのかと錯覚しそうです。
ゴッホはゴーギャンとこの街で共同生活を送り、300を超える作品を完成させたといわれています。
アルル フォーロム広場
参加したツアーの客は、私と同行した娘を入れて34名でした。アルルでは、朝早くから街に出て観光です。
楽しみにしている「夜のカフェテラス」のモデルになったカフェは、フォーロム広場(Place du Forum)にあります。
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ツアーのスケジュールでは、フォーロム広場で古代ローマのフォーロム(公共集会場)の地下回廊を見学することになっています。
私はひとりだけ失礼して、「夜のカフェテラス」のモデル店、「カフェ・ヴァン・ゴック」に行くことにしました。
ところが朝早かったため、ちょうど開店の準備中。たぶん「マシンを調節するから、少し待ってくれ」と言われたんでしょうが、適当に返事をしてエスプレッソを注文しました。
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夜のカフェテラスのはずが朝一番のカフェテラスになったわけです。待つことしばし、しっかりと苦味の効いた美味しいエスプレッソが出てきて感激しました。
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ところが、目を上げると私が待たされている間に地下回廊の見学を終わった33人が、じーっとこちらを見ています。ツアーを待たせて申しわけないという気持ちもありますが、こうなれば半ばやけくそです。「なんて美味しいんだろう」っていう表情を作って、エスプレッソを飲み干しました。
ツアーに戻ると、同行の娘が「これからは他人だからね」と一言。私から離れていきました。
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