カップの取っ手(ハンドル)は左右どちら向き?

カップを調べていて、ちょっと気になったのが、コーヒーや紅茶をお客さんに出す場合、カップの取っ手を左側にするか右側にするかです。

武蔵野珈琲店のマスターに聞いてみると、

昔は取っ手が左側だったんですよ。自分達も初めはそう教わりました。ほとんどの喫茶店が、そうだったと思います。

しかし、洋食器が普及するようになると右側になってきたんだそうです。武蔵野珈琲店でも右側で出てきます。

何客かカップを並べて説明してもらったのですが、たしかに左側に取っ手をもっていくと、お客さんのほうからは絵柄が見えなくなってしまうカップがたくさんありました。

耳たぶのような形をしたドレスデン(ドイツ)の取っ手。取っ手が左側では、絵柄が無くなってしまいます 。 取っ手を右側にすると絵柄が正面に来ます
リチャードジノリ(イタリア)の取っ手。 やはり、取っ手が左側では、絵柄が無くなってしまいます 。 取っ手を右側にすると絵柄が正面に来ます
曲線を活かしたヘレンド(ハンガリー)。取っ手を左側にすると、絵柄がなくなってしまいます 。 取っ手を右側にすると、絵柄がバランスよく正面を向きます
ヘレンド(デンマーク)のマークです。このマークが正位置に来るように置きます

下のお皿の向きも決まっていて、これは裏側のマークが正位置に来るように置くと、きれいに見える向きになります。

カップの取っ手は
左右どちら向き

なぜ、昔は取っ手が左側が多かったのかをさらに聞いてみると、

取っ手が左側にあって、スプーンの柄が右側になっていました。これは最初にスプーンで砂糖を入れてかき混ぜて、それからカップをくるっと回して飲むっていうように親切に考えられていたんです。スプーンの上にあらかじめ角砂糖が2個乗せてあったりもしたでしょ。

それが、いろいろな洋食器の普及とともに、自然にコーヒーカップやティーカップは取っ手が右側になってきたんだそうです。

ヨーロッパでは、スプーンがカップの後ろ側に置いてあることが多いんですが、日本ではいまだに手前の場合が多いようです。理由はあまりはっきりしていないようですけど

なるほど。さすがマスター、いろんな話が飛び出してきます。つまり、昭和時代には取っ手は左側が多かったということですね。

もうひとつ聞いた面白い話が、ウイーンではスプーンが水の入ったグラスの上に乗って出てくるところもあるんだそうです。

日本では、水はタダがあたりまえですが、もともと水が無料で飲めるところってそんなには多くないんです。

その中でウイーンではカフェでも普通に水が出てくるんですが、そのときにグラスの上にスプーンが乗せられているところがあるんだそうです。

このスプーンには、お客様のために入れた水ですよ、って封をする意味があるんです

日本ではミネラルウオーターをお金を払って買うようになったのはわりに最近ですが、世界中では水にお金を払うところがたくさんあると聞いて、なるほどと納得してしまいました。

カップの置き方は、絵柄を考えると取っ手が右側に来るのが正しい置き方になります。

世界一のコーヒー消費国のフィンランドに住んでいる方に聞いてみたところ、やはりカフェでは取っ手は右側で出てくるそうです。